医療対応住宅ケアホスピス   

看護師             

八木橋 弘美    

医療対応住宅ケアホスピス   

看護師             

八木橋 弘美    

ケアホスピスはご自宅、私たちは家族

子どもの頃から看護師になるのが夢だったんですが、実際に看護学校に入ったのは38歳のときでした。兄を肝臓がんで亡くしたとき、夢をやっぱり諦めたくないと思ったんです。
でも看護学校に通っている途中で、私にも子宮頸がんが見つかって。それでも看護師になることを諦めるなんて考えられなくて、5年かかりましたが、無事に看護師になれました。
当時は遠回りしているようにも感じましたが、看護師になった時、自分が癌になって入院した経験がとても役に立ちました。
不安でいっぱいの中、ナースコールのボタンをなかなか押せない気持ちや、看護師さんが来てくれたときの安心感。その時の経験があるからこそ、入居様と接する時には、できるだけ不安を取り除きたいという気持ちでコミュニケーションを取っています。
ケアホスピスでは医療処置などもしつつ、病院よりもゆっくりと入居者様と関わることが出来ます。
兄を亡くした時からずっとあった、「終末期に携わり、少しでもその人らしく笑顔で過ごす時間を創りたい」という願いが、ケアホスピスで働くことで現実となっていて、今はとても充実した毎日を過ごしています。

人の手が一番ほっとする

癌で入院中、体が痛んで辛かったとき、看護師の娘が私の腰をさすってくれたことがありました。それがどんな薬より痛みが和らいで、すごくほっとしたんです。その時気付きました。
「あ、手当てってただ処置をすることではないんだな」って。
その経験から、私は入居者様に対して、できるだけ手で触れながらコミュニケーションを取ることを意識しています。中には声を出せない方もいますが、手で触れることで伝わるものがあるのを感じるんです。
ケアホスピスでは、入居者様とたくさんコミュニケーションが取れて、それが私にはすごく合っているなって思っています。不安を抱えている入居者様も多いので、できるだけたくさん声をかけて、手で触れて。不安そうだった入居様が、ほっと安心した表情を見せてくれるようになった時、この仕事に就けて本当に良かったと思います。

ケアホスピスは”自宅”だから

「ホスピス」って聞くと、お亡くなりになる方もいるわけだから、なんとなく静かな場所を思い浮かべる人が多いと思います。でも私は、人が亡くなるときは静かじゃないほうがいいと思っていて。人に囲まれていたり、誰かの声や生活音が聞こえる中で亡くなるほうが、自然だし、寂しくないんじゃないかなって。
だから、ご家族のいない方の場合は、お看取りのときにできるかぎり独りにならないように何度も何度もお部屋に行くし、普段からも施設内をできるだけ明るい空間にしたいと思っています。
入居者様にとってケアホスピスは”ご自宅“であり、日常の生活の場です。
だから、そこで働かせてもらっている私たちは、入居様をご家族のように思っているし、
入居様にも私たちを家族と思ってもらえるくらい、遠慮なく過ごして頂けたらうれしいなと思っています。